太陽の王子様と月の御令嬢〜禁断の恋は焦ったい?〜
自分のしている恰好が周囲から浮いており、人からよく思われて居ないのは知っていた。
実際、学園に通っていても新しい友達は出来ることもなければ話しかけられる事もない。
そんなティアラは遠巻きに見られて、仕舞いにはバイ菌扱いだ。


ティアラ・フルムーン
一応、伯爵令嬢という肩書きがある。


けれどティアラにとっては貴族社会のあれこれなど、どうでもよかった。
周囲は根暗だの地味だの邪魔だの……毎日悪口のオンパレードである。

老人のように白い髪も金色の目を覆い隠す程の前髪も、別に好きでしている訳ではない。

肌は外に晒さないように完全防備。
真夏だとしてもマスクに帽子に眼鏡と常に肌を露出しないように徹底している。


今日も上から水が降ってきた為、長袖と長ズボンの体操服を借りて着替えようと廊下を歩いていた。

そして、幽霊のようにフラフラと覚束ない足取りで歩いていると足を引っ掛けて笑う声。

何事もなかったように立ち上がると再び歩き出す。
その反応が気に入らないのか響く舌打ち。
永遠に続く嫌がらせは終わる事は無い。

別に嫌われるのは自分だけならばいい。
やられっぱなしでも構わない。
与えられた課題をクリア出来ればそれでいいのだ。

けれど厄介事というは次々とやってくる。
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