太陽の王子様と月の御令嬢〜禁断の恋は焦ったい?〜
「ッ、ティアラ……!」

「姉上っ!!」


(あ、見つかった)

いつもは避けている二人とバッタリと遭遇してしまった。


「誰にやられたんだッ!?」

「えっと……分からない」


ティアラの一つ上、兄であるミスト・フルムーン
生徒会の一員であり、美しい金色の髪と瞳。
物腰も柔らかく、誰にでも優しい自慢の兄である。


「酷い……びしょ濡れじゃないですか!!」

「大丈夫だから、離して」


ティアラの一つ下、弟のセス・フルムーン
人形のように整った顔、ミストと同じく金色の髪と瞳を持った中性的な美男子。
甘え上手な可愛い弟である。


ミストとセスの周りには常に御令嬢が居て、二人がティアラの元に行くのを好まない。
二人が悪く言われる事は無いからいいのだが、周囲の御令嬢達がティアラの悪口を言うと二人は激昂するので、それを諌めるのが死ぬほど面倒くさい。

(あっちの廊下を通れば良かった……)

けれどそんな2人に「私に構わないで」と言って追い払う元気もなく溜息を吐く。

二人の塩すぎる対応にもめげずに、毎日毎日ミストとセスに群がる御令嬢達から浴びせらるナイフのような視線を感じつつ、着替えの体操服を握りしめながらフラリとヨロめいた。
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