太陽の王子様と月の御令嬢〜禁断の恋は焦ったい?〜
「世界で一番可愛い」「本当に美しい」「この国の宝だ」
二人のティアラ自慢は止まる事を知らない。
今の自分にそんな要素は一つもない。
どこをどう見たって納得は出来ないだろう。
息を思いきり吸い込んでヒョロヒョロと蛇のような声を出す。
「……二人とも、やめて」
「「だって、ティアラが……!」」
「いい加減にしないと、怒るよ?」
「待ってくれ!ティアラ……!」
「姉上ッ、怒らないで」
ボソリと呟くと泣きそうになりながら縋り付こうとするミストとセス。
ブラコンもここまでくると、どうしようもない。
迫り来る二人の前に手を出して制する。
「汚れるから、触らないほうがいい」
「私はどんなティアラでも受け入れてみせる!だから大丈夫だ!」
「大丈夫じゃない」
「姉上、困ったことは僕に言ってよ!」
「私は今、すごく困ってる」
「僕達のが困ってるよ!!」
会話が成り立たないと判断した為、踵を返す。
そんなフルムーン三兄弟はミストとセスは良い意味で有名で、ティアラは悪い意味で有名だった。