太陽の王子様と月の御令嬢〜禁断の恋は焦ったい?〜
幼い頃から窓越しに見ていたティアラが目の前にいる。
これ以上、嬉しい事は他にない。
そして今日のデートで、達成したい目標があった。

(今日こそ絶対に手を繋いで歩くぞ!)

あの時、キスはしたもののティアラは寝ていた為、殆ど覚えていなかった。
婚約者になったのだから、もっと触れたいと思っているものの距離はまだ遠い。

今日のデートで手を繋げなければ、またラーナにヘタレ王子と呼ばれてしまう。

リンナには「子供の令息の方が上手く手を繋げるわ」と言われてしまうし、ミストにも「"ティアラに手を出すのは許さん"って言いたいところだけど、手を出さなすぎなんだよ……ブラッド、しっかりしてくれない?」と言われる始末である。

(爪も切ったし、手汗が出ないように訓練もした……!男を見せろ、ブラッド)

今日はお忍びで城下町に来ていた。
ティアラの姿を知るものはあまり居ない為、髪を結いあげて帽子の中に隠せばバレることはない。
ブラッドは髪色と顔でバレてしまう為、ガッツリと変装して顔や髪を隠している。

ティアラの機嫌は良さそうだ。
フルムーン家当主であるティアラが居れば護衛いらずである。

馬車から降りるとエスコートする為に手を伸ばす。
エスコートと分かっていれば平気なのだが、恋人として手を繋ぐとなると別の意味で緊張してしまうのだ。
< 72 / 75 >

この作品をシェア

pagetop