しみ


 最後の夜もふつうに来て、最後の朝も当たり前のようにこうして来た。


 終わる気配の見えない毎日に、だけどこれが本当に最後なんだと、だけどもう少しだけ続いてほしいと、ないまぜになった気持ちのまま、もう一度瞼をとじる。


 涙が一粒零れた気がする。もしかしたら次起きた時にはしみになっているかもしれない。


 やっぱり別れたくない、そう言えていたら今日をこんな気持ちで迎えることはなかったのかもしれない。いつまでも待ってる、そう言えていたら今頃笑ってふたりで最後の朝を過ごしていたのかもしれない。


 全部今更だ。バカだった自分を取り消せやしないかと、もう一度眠りに落ちた。


 
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