屋上で廿樂くんと、ヒミツのこと。

廿楽くんは秘密主義だと思う。



人のことはよく聞いてくるし、からかってくるくせに自分のことは多く語らない。



廿楽くんを知りたいと思うのに、なかなか踏み込ませてくれないし。



…たぶんそれが、廿楽くんにハマっていく一つの理由でもあるんだ。



「…えっと、ね?明楽先輩を知りたいというより…どちらかと言うと、廿楽くんのことを知りたいって言う方が正しい…です」



だから、正直に思ってることをそのまま言った。



そうじゃないと、廿楽くんに伝わらない気がして。



「……心優には敵わないな」



廿楽くんは私を抱きしめていた腕の力を緩めて、隣に座り直した。
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