屋上で廿樂くんと、ヒミツのこと。

「こんな状態で女の子を返すほど、廃れてないよ」



「明楽、先輩……」



先輩の手に込められた熱が私を引きとめる。



振りほどかないといけないのに、振りほどけない。



「別に変なことしたりしないから。心優ちゃん相手にそんなことしないよ」



…………。



その心配はしてなかったけど、する必要もなかったんですね。



私に女子としての魅力がないなんて重々承知してますんで、言わなくても平気ですけれど。



「えぇっと…じゃあ、お言葉に甘えて…」



そう言いたいのを飲み込んで、ペコッとお辞儀する。



「うん、どうぞどうぞ」



「お、お邪魔します…」



先輩がドアを開けて玄関に入ると、そこからもう私の家とは違った。
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