屋上で廿樂くんと、ヒミツのこと。
何も考えなくていい空間は、少し心地いい。
……このまま寝れたら、いいのになぁ。
そのまま眠りにつこうと思った時。
「……心優」
若菜の声よりもっと低い、甘めの低音が響いた。
廿楽、くん……?
顔を伏せているからわからないけど、絶対そうだ。
声を聞いただけでわかっちゃうよ。
でも、ここで起きるわけには行かない。
ただでさえ熱でボーっとしているのに、寝て起きたら髪の毛はボサボサだ。
そんな姿を廿楽くんに晒せるわけが無い。
また廿楽くんを騙すようなことをしていると思うと、心が苦しくなる。
「…これ、置いとくから」
起きない私を察したらしく、そう一言だけ残してまたどこかへ行ってしまった。