屋上で廿樂くんと、ヒミツのこと。

何も考えなくていい空間は、少し心地いい。



……このまま寝れたら、いいのになぁ。



そのまま眠りにつこうと思った時。



「……心優」



若菜の声よりもっと低い、甘めの低音が響いた。



廿楽、くん……?



顔を伏せているからわからないけど、絶対そうだ。



声を聞いただけでわかっちゃうよ。



でも、ここで起きるわけには行かない。



ただでさえ熱でボーっとしているのに、寝て起きたら髪の毛はボサボサだ。



そんな姿を廿楽くんに晒せるわけが無い。



また廿楽くんを騙すようなことをしていると思うと、心が苦しくなる。




「…これ、置いとくから」



起きない私を察したらしく、そう一言だけ残してまたどこかへ行ってしまった。
< 182 / 343 >

この作品をシェア

pagetop