屋上で廿樂くんと、ヒミツのこと。

笑った顔が明楽先輩にそっくりだ。



「…で、何か用があったから声掛けたんじゃないの?」



お姉さんは明楽先輩にそう聞かれると、手をパチンと叩いた。



「そうだったわ…!すっかり忘れてた!明楽に社会科見学させようと思ったのよ…!」



………社会科見学??



「だ、か、ら!言ったじゃん…!俺はそっちに行かないって!」



「そりゃあ言われたけど、わかったとは一言も言ってないわ」



「屁理屈言うなよ…」



2人の会話がまるでわからず、私は首を捻ることしかできない。



「ここを継げば将来安泰じゃない…!何がそんなに不満なのよ?」



「家族と経営とか絶対無理。息苦しくて死ぬ」



「はぁ〜?」



…なんか今、すごい会話聞いちゃってない?



継ぐとか家族で経営とか…。



しかも、お姉さんは“ここ”と言っていた。



ここ、なんて言うのは本当にすぐ近くの場所しか指す言葉だし…。
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