冬香
第5話 雨水
今日は昨日の晴天が嘘のように、どんよりとした天気になった。
空気が重く息をするのが憂鬱になるようなそんな感じだ。
アスファルトは少し色が変わり、沈んだ僕の気持ちを更に沈ませる。
そんなことを考えながら歩いていると、目の前は駅のホームだった。
この時間帯にしては、サラリーマンの姿が少ないように思える。学生は1人しか居なかった。
駅にあるベンチの端に僕は座り電車を待つ。
風に吹かれて舞っている花びらを見つめていると、右肩に重みを感じた。
「ねぇねぇ君山根 春樹君だよね?」
聞き馴染みのない声に僕は、驚きを隠せなかった。
「君は?」
「私は雨水 花菜」
風に揺れる髪に桜の花びらが落ちて、どこか安心感のある匂いがする。
「どうして僕の名前を知っているの?」
彼女はキョトンとした表情をして言った。
「今日から同じ学校に通う人の名前は覚えるよ。ましてや通学路も一緒なら尚更ね」
「もしかして転校生?」
「そうなんだよね。昨日担任の先生に聞いたら、春樹君って人と通学路が同じって聞いたから君かな?って思って」
「確かに僕が春樹だけど、僕じゃなかったら転校初日から気まずいことになってたね」
「だから安心したんだよ」
どこが安心する雰囲気をもつ彼女に僕は少し気になっている。
踏切が降りて電車が来る。彼女の髪がまた揺れる。
不思議な子だなと思いながら僕は電車へと足を進める。
空気が重く息をするのが憂鬱になるようなそんな感じだ。
アスファルトは少し色が変わり、沈んだ僕の気持ちを更に沈ませる。
そんなことを考えながら歩いていると、目の前は駅のホームだった。
この時間帯にしては、サラリーマンの姿が少ないように思える。学生は1人しか居なかった。
駅にあるベンチの端に僕は座り電車を待つ。
風に吹かれて舞っている花びらを見つめていると、右肩に重みを感じた。
「ねぇねぇ君山根 春樹君だよね?」
聞き馴染みのない声に僕は、驚きを隠せなかった。
「君は?」
「私は雨水 花菜」
風に揺れる髪に桜の花びらが落ちて、どこか安心感のある匂いがする。
「どうして僕の名前を知っているの?」
彼女はキョトンとした表情をして言った。
「今日から同じ学校に通う人の名前は覚えるよ。ましてや通学路も一緒なら尚更ね」
「もしかして転校生?」
「そうなんだよね。昨日担任の先生に聞いたら、春樹君って人と通学路が同じって聞いたから君かな?って思って」
「確かに僕が春樹だけど、僕じゃなかったら転校初日から気まずいことになってたね」
「だから安心したんだよ」
どこが安心する雰囲気をもつ彼女に僕は少し気になっている。
踏切が降りて電車が来る。彼女の髪がまた揺れる。
不思議な子だなと思いながら僕は電車へと足を進める。