太陽の寵愛
時は江戸時代。この時代にはとあることが日本全国で流行っていた。それはーーー伊勢の国にある伊勢神宮へお参りをする所謂お伊勢参りである。
江戸からは歩いて十三日、大阪からは五日、東北地方に至っては百日も伊勢に行くにはかかってしまう。だが、みんな「一生に一度のお伊勢参り」と言い、大勢の人が歩いて伊勢の国を目指すのだ。
奉公人が主人に黙って抜け出して参拝しに行ったり、妊婦さんがふと思い立って参拝しに行ったりと、伊勢神宮に足を運ぶ人、そして行きたいと願う人は多かった。しかし、全ての人が伊勢神宮へ行けるわけではない。貧しい村などは特に行きたくても行けない人が多いのだ。
だが、貧しくとも行ける方法は一つだけあった。それは、村人の中から代表者を一人選び、その人に伊勢神宮に行ってもらい、全員分の願い事を神様に伝えてもらうのだ。
「ここが伊勢神宮……」
厳かな雰囲気の鳥居を見上げ、ポツリと青年が呟く。彼の名は一(はじめ)。貧しい村に住んでおり、普段は畑を耕してまだ幼い兄弟たちを養っている。
江戸からは歩いて十三日、大阪からは五日、東北地方に至っては百日も伊勢に行くにはかかってしまう。だが、みんな「一生に一度のお伊勢参り」と言い、大勢の人が歩いて伊勢の国を目指すのだ。
奉公人が主人に黙って抜け出して参拝しに行ったり、妊婦さんがふと思い立って参拝しに行ったりと、伊勢神宮に足を運ぶ人、そして行きたいと願う人は多かった。しかし、全ての人が伊勢神宮へ行けるわけではない。貧しい村などは特に行きたくても行けない人が多いのだ。
だが、貧しくとも行ける方法は一つだけあった。それは、村人の中から代表者を一人選び、その人に伊勢神宮に行ってもらい、全員分の願い事を神様に伝えてもらうのだ。
「ここが伊勢神宮……」
厳かな雰囲気の鳥居を見上げ、ポツリと青年が呟く。彼の名は一(はじめ)。貧しい村に住んでおり、普段は畑を耕してまだ幼い兄弟たちを養っている。
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