太陽の寵愛
ツクヨミノミコトは薄紫の髪をポニーテールにし、ミニ丈の可愛らしい着物ドレスを着ている。耳につけられた星と月のピアスが揺れていた。

この二人は一がこのお城に来た頃、アマテラスに紹介されたからだ。何やら真剣な表情をしており、一は聞き耳を立てる。

「今夜、あの鳥居ができるらしい。人間攫ってきたヒノカグとかが「逃げ出さないようにしっかり監視しないと」ってうるさかった。絶対人間、その鳥居なんて知らねぇだろ」

顰めっ面をしながらスサノオが言うと、ツクヨミが「そうだよね〜」と頷く。鳥居って何なんだ、と一の中に興味が生まれる。この話を聞き逃すと二度と人間界に戻れないのではと思い、一は歩く速度を落とした。

「大体、ヒノカグたちって攫った人間、屋敷の外に一歩も出してないでしょ?うちの姉様がそうだし!」

ツクヨミの言葉に、一は「は?」と口から声が出そうになる。確かにこのお城の外に一は出たことがない。アマテラスから危険だと言われていたためである。外は山に囲まれているため一も納得していたのだが、ただ軟禁されていただけだったのだ。
< 11 / 17 >

この作品をシェア

pagetop