太陽の寵愛
「何で門、開いてるんだろう……」

いつもは固く閉じられているはずの門は開いており、外へと出られるようになっている。そして、門の向こうにはここに来た時にはなかった真っ赤な鳥居が建っていた。それを見た刹那、一の胸が弾む。

「あの鳥居をくぐれば、僕は帰れるんだ！」

勢いよく一は地面を蹴り、門へと走り出す。だが、門の外に出ようとした刹那、何者かによって背後から抱き締められ、動きを封じられてしまう。冷や汗が一の額に浮かんだ。

「……どこへ行こうとしている？」

そう低い声で言うのは、先ほどまでは姿すら見えなかったアマテラスである。一の体は引きずられ、門からどんどん離れていく。

「私の許可なしに、お前はどこへ行こうとしていたんだ？」

言い訳は聞かない、そう言いたげな強い口調で言われてしまえば嘘などつけるはずもない。一は俯きがちに答える。

「い、家に帰ろうとしました。今夜、家に帰ることができる鳥居ができるって話しているのを聞いて……」
< 14 / 17 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop