太陽の寵愛
一がそう言うと、アマテラスは舌打ちを一つする。彼女からは激しい怒りを感じ、一の手が震え始めた。

「お前が私の元から離れると言うのならば、私にも考えがあるぞ?」

そう言い、アマテラスは一を離す。一が振り返ると、アマテラスはどこか冷たい笑みを浮かべ、唇を動かした。

「私はお前がここから離れた瞬間、世界から帰る。この城に閉じ籠る。……これがどういうことか、賢いお前ならわかるだろう?」

アマテラスの言葉に一は目を見開く。この場所にアマテラスが閉じ籠ることーーーそれはつまり世界から太陽が消えてしまうということだ。アマテラスは太陽の神様で、太陽そのもの。太陽がなければ、人は生きていくことができない。

「ア、アマテラス様!そ、それだけは……それだけはやめてください!」

一の脳裏に太陽がなくなり、苦しむ家族や村人たちの姿が浮かぶ。太陽がなくなればみんな命を落としてしまう。カタカタと体を震わせ、懇願する一に、アマテラスはニコリと微笑んで言った。
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