太陽の寵愛
「お前が私のものにならないのなら、私は永遠に閉じ籠る。それが嫌なら……わかっているな?」

「ッ!」

アマテラスの望むようにしなければ、世界から本当に太陽が消えてしまう。アマテラスに全世界の人間を人質に取られているようなものだ。一はゆっくりと近付き、アマテラスに頭を下げる。

「あなたのそばにいます」

泣き出しそうになるのを堪え、一がそう喉の奥から絞り出すように言うと、アマテラスは満足げに頷く。

「いい子だ。それならば、永遠に共にいられるように契りを交わそう」

アマテラスが一の手を取り、何かを呟く。すると二人の手を金色に輝く糸が縛り、数十秒後に消えていく。美しい糸は、一の目には手錠のように見えてしまった。

「愛しい人、今夜は私の布団で共に寝よう」

希望を打ち砕かれ、目から光を失った一はアマテラスに手を引かれて歩き出す。

一の世界から、太陽は消え去ってしまった。







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