太陽の寵愛
「おや、驚いてしまったのかい？可愛いね」

女性の淡い青の瞳が細められる。その仕草だけでも一の頰は赤く染まり、戸惑いと同時に胸が高鳴ってしまう。こんなにも美しい女性を見たのは、一は生まれて初めてだった。

「あ、あの！あなたは一体？」

何とか一の喉から言葉が飛び出す。女性は一を抱き締める力を込め、ニコリと微笑んだ。

「初めまして、旅人の坊や。私の名はアマテラスオオミカミと言う」

その名を聞いて一は目を見開く。アマテラスは、この伊勢神宮に祀られている太陽の女神だ。

「アマテラス、様……？」

神様などが目に見え、こうして触れることなどまるでおとぎ話のようである。夢を見ているような気分だ。だが、一の体にはアマテラスの温もりが伝わっており、現実なのだとそれが教えてくれている。

「神様がこの目で見えるなんて……」

「我々は気になった人間の前には姿を見せることもある。私は坊やが気になった」

アマテラスがそう言い、偉大な神の目に映ったことに一は緊張を覚える。彼女に願い事は届いたのか、ふと気になってしまった。
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