太陽の寵愛
「驚きすぎだぞ」

「す、すみません……」

アマテラスがクスクスと笑い、一は頭をかく。恥ずかしさから一が目を逸らしてしまうと、アマテラスは何か呪文のような言葉を口にする。すると、一の体を黄金の光が纏った。

「えっ？」

突然のことに一は驚き、声が出てしまう。アマテラスは優しく微笑んだ後、一の口にそっと指を当てた。

「願い事を叶える代わりに、私の家に来てほしい。しばらく坊やと共に過ごしたい」

ふわりと宙に浮く感覚がした刹那、一の視界から伊勢の街は消えてしまっていた。代わりに黄金に輝く美しいお城が現れ、お城の門が開くと大勢の使用人たちが現れて頭を下げる。

「ようこそいらっしゃいました」

人に頭を下げることはあっても、下げられることなどない。一が戸惑っていると、アマテラスに手を引かれる。

「ほら、こっちへおいで」

伊勢の国で、一はこうして神様と出会ったのである。



お城の天守閣から一は景色を見下ろす。天守閣からは美しい山々や川が見え、自然豊かなこの場所には村などの姿は見えない。このお城は孤立している。
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