太陽の寵愛
「すまないが、願い事の中に難しいものがあってな……。今、他の神々と話し合いをしているところなんだ。タケミカ、一の相手をしてやってくれ」

「スクナに聞いたところ、人間界ではある病が流行っているようだ。お前の家族は無事だ。だが、ずっと神の世界にいる一が行くと病に体が蝕まれてしまうかもしれない。しばらく落ち着くまではここにいろ」

このようなことを言われ、元の世界に帰してもらえない日々が続いている。一はどうしようかと毎日のように考えていた。

「母さん、流行り病に感染していないかな?弟たちは大丈夫かな?村は、村のみんなは元気にしているのかな?」

一が景色をぼんやりと見つめながら頭を抱えていると、肩を優しく叩かれる。振り返れば笑みを浮かべたアマテラスが立っていた。

「わっ、アマテラス様!」

ひとり言を聞かれたか、そうびくりと肩を震わせた一にアマテラスは不思議そうに首を傾げる。

「どうしたんだ?体調でも悪いのか?サクヤから貰った茶菓子を一緒に食べようと思ったんだが」
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