ハイスペ・栄枝社長は妻を囲いたい
「私……頼りなくて、世間知らずってよく言われるんですが、そんな私でも選んでくれたのは聖守です!
あんな素敵な、誰からも羨ましがられる聖守に選ばれた。
だから、恥ずかしくなんかありません!
つり合わないって自分を卑下したら、聖守を蔑むのと同じだから!」

見据えて言う妃波に、塚元は何も言えなくなる。

それを聞いていた聖守は、フッ…と笑って妃波を後ろから抱き締めた。
「え!?聖守?」
ビクッと震え、振り返る。

「姉様!帰りましょ?」
「うん」
後ろから顔を覗き込み微笑む聖守に、妃波は頷いたのだった。


「━━━━━━聖守」
指を絡めて繋ぎ、ゆっくり家路についている二人。
妃波を見上げて、妃波が言った。

「ん?」
「ごめんね」

「ん?どうして、謝るんですか?」

「…………雰囲気、悪くしたから」

「んー雰囲気悪くしたのは、塚元さんです。
姉様じゃないですよ?」
「でも……」

「姉様、カッコ良かったです!
惚れ直しました!/////やっぱ、姉様は最高です!」
「え?」

「“つり合わないって自分を卑下したら、聖守を蔑むのと同じだから”って、凄くカッコ良かったですよ!」
「………」

「姉様?」
「……………ほんとは、違うの」
俯き、呟く妃波。

「え?」


「そうやって、いつも自分に言い聞かせてるの……!」
ピタッと止まり、聖守を見上げる。

妃波の目は、潤んでいた。


「姉…様……?」

「ほんとは、自信なんかない!
私は、塚元さんの言う通り……頼りないから。
聖守がいないと……聖守がいてくれないと、何も出来ない!」

「姉様…」

「でも!聖守が悪いんだよ?」

「え?」

「聖守が、なんでも出来るから!
私を甘やかすから!だから、私が益々━━━━━━」

聖守が妃波を抱き寄せた。
そして、口唇を奪う。
しばらく貪り、離して口唇をなぞる。

「ん…姉様、言いましたよね?
強引に口を塞ぐって!
姉様、お願いだから……不安にならないでください。
姉様が、僕とつり合わないなんてないんですよ?
寧ろ……僕の方が、姉様につり合ってないんです……」

「そんなこと━━━━━」


「あるんです!
……………姉様は…本当の僕を知らない。
それに!!自分の魅力を、まるでわかってない……!」
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