ハイスペ・栄枝社長は妻を囲いたい
また後日。
聖守と妃波は、仕事終わりに外食に出掛けていた。

「姉様、何食べますか?」
「えーとね…
ここ!ここのピザ、美味しいんだって!
矢畑さんが教えてくれたの!
路地裏にあるお店なんだけど、穴場らしいよ!」
スマホ画面を見せながら言う、妃波。

「そうなんですね!
じゃあ、ここにしましょう!」
聖守はうんうんと相づちをうち、微笑んだ。


一枚がとても大きなピザで、二人で一緒に食べる。
「美味しいね!」
「はい!
姉様と食べてるから、余計に美味しいです!」

「……/////もう(笑)」

「本当ですよ?」
聖守は妃波の笑顔を見ながら、幸せを噛みしめていた。

あの時━━━━━妃波が助けを求めてくれなかったら、ここで妃波の笑顔を見ることをできなかったかもしれない。

この笑顔が、他の男に向けられていたかもしれない。

そう考えるだけで、不安で胸が押し潰されそうになる。

「姉様」
「んー?」

「……………僕の傍にいてくれてありがとう!」

「え?ど、どうしたの?急に」

「僕は、姉様が傍にいてくれたら何もいらない」

「え?え?
ほんと、どうしたの?」

「いいえ~何もありません!
さ!食べましょ?
肉、もーらい!」

「あー!私のお肉ー!」


そして食事が終わり、ゆっくり路地を歩く。
すると、すぐ近くで喧嘩をしている声が聞こえてきた。
「なんだろ?」
「姉様、危ないからこっちから帰りましょう」

端に妃波を誘導し、避けて歩く。

しかし殴られた男が、聖守と妃波の前に倒れる。
「キャッ!!?」
ぼろぼろに殴られていて、妃波は思わず悲鳴が出る。

「姉様!こっちです!」
妃波の腰を抱いて、更に避けて歩く。

「おい!てめぇ、スカしてんじゃねぇよ!」
すると男の一人が聖守の肩に手を置き、凄んできた。
「………僕に、触らないで」
微笑み言った、聖守。

「あ?」
「だからね!僕に、触らないでよ」
聖守は、絶対笑顔を崩さない。

「聖守」
「姉様、大丈夫ですよ?
…………あれ?君、瑛鉄の?」
妃波をなだめて、男に向き直り気づく。
男が、瑛鉄の仲間の一人だと。

「は?お前、瑛鉄さんを知ってんの?」

微笑んだまま男の耳に口を寄せ、囁いた。
「瑛鉄の仲間なら“こんな程度の”男達、早く殺らないと!」

「え?お前…何者……?」
怯え、後ずさる男。
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