ハイスペ・栄枝社長は妻を囲いたい
後日、仕事中の妃波。
「栄枝さん、お客様だよ」
「あ、はい!すみません!」
パタパタと会社のエントランスに向かう。
「妃波嬢!」
「ん?瑛くん!」
「ごめんねー仕事中に」
「ううん!どうしたの?」
「もうすぐ、昼休みだよね?
ランチ、一緒しない?」
「え?うん、いいよ!
聖守に、忙しくて一緒できないって言われてたから良かった!」
そして、瑛鉄の部下の運転する車に乗る。
「何処で食べる?」
「んー?
…………ちょっとごめんね、妃波嬢」
「え━━━━━」
瑛鉄の顔が近づいたかと思ったら、ハンカチで口元を塞がれた。
妃波の意識が薄れていく━━━━━
「おやすみ、妃波嬢……」
眠る寸前、瑛鉄の声が遠くに聞こえた。
一方の聖守。
仕事が済み、妃波を迎えに行く。
いつものように会社のエントランスで待っていると、矢畑が声をかけてきた。
「あれ?栄枝さんのご主人ですよね?」
「あ、はい」
「あれ?おかしいな……
聞いてませんか?」
「え?」
「栄枝さん、ランチに行って体調を崩したから早退したはずですが……」
「え……!!?」
「なんか、栄枝さんの知り合いの方がここに来られてランチに行って、その知り合いの方が栄枝さんが体調を崩したから自宅に送るって荷物を取りに来たんです。
ご主人には、連絡するからって言ってたんですが……」
「………」
「あの…ご主人?」
「あ、すみません。
その知り合いってどんな人でしたか?」
少しずつ、怒りが込み上がっていく。
でも、冷静に穏やかに問いかける。
「どんな?
えーと……あ!ピアス!
水晶のピアスしてました!」
「そうですか」
やっぱり、そうか…と思う。
「わかりました。ありがとうございます」
聖守は、頭を下げると急いで会社を出ていった。
会社を出た、聖守。
スマホを取りだし、瑛鉄にかける。
『もしもし~』
「姉様を返して」
『おっ!怒ってる~?』
「怒ってるよ」
『もっと怒って?
それで、妃波嬢に見せてやれよ!黒天使』
「は?」
『妃波嬢は、例の場所にいる。
早く、おいで?』
そこで、ブチッと切られたのだ。
スマホを持った手を、力なく落とす。
目を瞑り、空を仰いだ。
会社前に、人々が沢山犇めきあっている。
そのザワザワした喧騒が、一瞬なくなる。
パチッと目を開けた。
そして何とも言えない表情で、歩きだした。
「さぁ……僕の妃波を拐った落とし前、つけてもらおうかな」
「栄枝さん、お客様だよ」
「あ、はい!すみません!」
パタパタと会社のエントランスに向かう。
「妃波嬢!」
「ん?瑛くん!」
「ごめんねー仕事中に」
「ううん!どうしたの?」
「もうすぐ、昼休みだよね?
ランチ、一緒しない?」
「え?うん、いいよ!
聖守に、忙しくて一緒できないって言われてたから良かった!」
そして、瑛鉄の部下の運転する車に乗る。
「何処で食べる?」
「んー?
…………ちょっとごめんね、妃波嬢」
「え━━━━━」
瑛鉄の顔が近づいたかと思ったら、ハンカチで口元を塞がれた。
妃波の意識が薄れていく━━━━━
「おやすみ、妃波嬢……」
眠る寸前、瑛鉄の声が遠くに聞こえた。
一方の聖守。
仕事が済み、妃波を迎えに行く。
いつものように会社のエントランスで待っていると、矢畑が声をかけてきた。
「あれ?栄枝さんのご主人ですよね?」
「あ、はい」
「あれ?おかしいな……
聞いてませんか?」
「え?」
「栄枝さん、ランチに行って体調を崩したから早退したはずですが……」
「え……!!?」
「なんか、栄枝さんの知り合いの方がここに来られてランチに行って、その知り合いの方が栄枝さんが体調を崩したから自宅に送るって荷物を取りに来たんです。
ご主人には、連絡するからって言ってたんですが……」
「………」
「あの…ご主人?」
「あ、すみません。
その知り合いってどんな人でしたか?」
少しずつ、怒りが込み上がっていく。
でも、冷静に穏やかに問いかける。
「どんな?
えーと……あ!ピアス!
水晶のピアスしてました!」
「そうですか」
やっぱり、そうか…と思う。
「わかりました。ありがとうございます」
聖守は、頭を下げると急いで会社を出ていった。
会社を出た、聖守。
スマホを取りだし、瑛鉄にかける。
『もしもし~』
「姉様を返して」
『おっ!怒ってる~?』
「怒ってるよ」
『もっと怒って?
それで、妃波嬢に見せてやれよ!黒天使』
「は?」
『妃波嬢は、例の場所にいる。
早く、おいで?』
そこで、ブチッと切られたのだ。
スマホを持った手を、力なく落とす。
目を瞑り、空を仰いだ。
会社前に、人々が沢山犇めきあっている。
そのザワザワした喧騒が、一瞬なくなる。
パチッと目を開けた。
そして何とも言えない表情で、歩きだした。
「さぁ……僕の妃波を拐った落とし前、つけてもらおうかな」