ハイスペ・栄枝社長は妻を囲いたい
いつものクラブ。
まだ、夕方なので営業前だ。

バン!とドアを乱暴に開け、入った。
「聖守様!お疲れ様です!」

「そこ、退いて」

冷静に穏やかに……でも、確かな凄まじい怒りを漂わせて従業員に言った。

「は、はい!」

ズカズカと奥の部屋に向かい“Secret”のドアを開けた。


瑛鉄の部下達がズラリと並び、一斉に聖守を見た。
聖守は、一番奥にいる瑛鉄の元に真っ直ぐ向かっていく。

しかし、部下達が次々と行く手を阻む。
それを容赦なく、なぎ倒していく聖守。

「やっぱ、スゲーや!!
黒い天使は、つえー!!」
興奮したように、奥のソファに座っている瑛鉄がはしゃいでいる。

あっという間に、瑛鉄一人になり聖守はそのまま殴りかかった。

「久しぶりだな!黒天使・聖守」
その手を止める、瑛鉄。
そして、少し微笑み言った。

「そうだね。
そんなに、会いたかったの?」
聖守も微笑み言う。
しかし、目の奥は怒りに満ちていた。

「あぁ!
なぁ、仲間になってよ!
会社を辞めろなんて言うつもりないよ?
妃波嬢のことも、傷つけるつもりなかった。
でも、俺のことも助けてよ!
時々でいいから、俺の仕事を手伝ってくれさえすればいいんだよ!」

「言ったよね?
もう……罪は犯さないって。
瑛鉄とは、縁を切るって」

「なんで?
妃波嬢に知られたくないのはわかるよ?
だからって、俺との関係を切ることないだろ!?」

「ダメだよ。
姉様は、ピュアで真っ白なんだ。
瑛鉄といたら、姉様が汚れる。
そんなの、許さない。
姉様は、僕が囲ってずっと守るって決めたんだ。
僕が、姉様を汚させない」

「何言ってんの?
俺の部下をあんなボコっといて、自分は綺麗だとでもいうのかよ!?
聖守は、俺と同じじゃんか!
聖守も、俺と、お、な、じ!
汚れてんの!」

「……………そんなこと、わかってる。
でも、姉様が傍にいていいって言ってくれたんだ。
傍にいてほしいって。
だから、一生傍にいる」

「俺は!!!聖守とまた前みたいに、バカなことやってつるんでたいんだよ!!」

「僕は、姉様しかいらない!
瑛鉄、姉様を拐った落とし前つけてもらうよ」

「聖守、お前━━━━━━」

「聖守!!瑛くん!!
もう、やめて!!!」

その時、部屋の中に妃波の声が響いた。
まだ薬が効いているようで、足元をふらつかせながら聖守と瑛鉄の元に近づく。
< 20 / 24 >

この作品をシェア

pagetop