切なさが加速する前に
「そして翌日の七月の初めから突然、彼からの連絡が途絶えたの」
「彼は自分の中の欲望に気づいてしまったからなのか?自分の中の汚れた想いに打ちのめされていたのだろうか?」
「ママ、違うよ、あいつは私のために紳士であることを捨てようとしたんだよ。外道に堕ちようとしたんだよ」
i(アイ)の瞳があたしを離さなかった。
「綺麗ごとだと思う?ママ?私だって彼の想いは分かっているよ。どうにもならないことだって分かっているよ。恋次郎だって分かっているんだよ。だから私さ、あいつを外道に堕とすわけにはいかない!」
恋次郎はi(アイ)のために外道に堕ちてもいいと思ったのか?あたしのために無期懲役となったバーテンダーの冬木のことを想った。あたしは冬木を外道に追い込んでしまったのではないか?
『あいつを外道に堕とすわけにはいかない!』
と言ったi(アイ)の強さにあたしの心が震えた。
「逢うのが辛くて、彼はi(アイ)を拒絶したのだね」
「カウントダウンに耐えられなかったんだよ。一日、一日、別れの日が近づくのは耐えられない悲しみだったよ」
そして、二週間が過ぎた。
「彼は自分の中の欲望に気づいてしまったからなのか?自分の中の汚れた想いに打ちのめされていたのだろうか?」
「ママ、違うよ、あいつは私のために紳士であることを捨てようとしたんだよ。外道に堕ちようとしたんだよ」
i(アイ)の瞳があたしを離さなかった。
「綺麗ごとだと思う?ママ?私だって彼の想いは分かっているよ。どうにもならないことだって分かっているよ。恋次郎だって分かっているんだよ。だから私さ、あいつを外道に堕とすわけにはいかない!」
恋次郎はi(アイ)のために外道に堕ちてもいいと思ったのか?あたしのために無期懲役となったバーテンダーの冬木のことを想った。あたしは冬木を外道に追い込んでしまったのではないか?
『あいつを外道に堕とすわけにはいかない!』
と言ったi(アイ)の強さにあたしの心が震えた。
「逢うのが辛くて、彼はi(アイ)を拒絶したのだね」
「カウントダウンに耐えられなかったんだよ。一日、一日、別れの日が近づくのは耐えられない悲しみだったよ」
そして、二週間が過ぎた。