切なさが加速する前に
♪ 夢に消えたジュリア

『バイトは昨日の夜で終わったんだ。今夜は友達の家に行くよ。お別れを言いにね。この街に来られたのは友達のおかげだし・・・明日の夜にはこっちを発つよ』
『そうだ、今夜は花火が上がるよ。どうだ?見に行かないか?』

『一緒に並んで見ない方がいいよぅ』
『どうして・・・』

『だって花火は綺麗だからさ・・・』
『想い出になっちまうからか?』

『花火を見る度に私を想い出しちゃうぞ』
 i(アイ)はいつものように悪戯っぽく笑おうとした。でも、そこには唇を噛み締めるi(アイ)の横顔があるだけだった。

『明日の夜、見送ってね。初めて迎えに来てくれた私の車がある駐車場・・・間違えるなよ、いつも待ち合わせた店の近くじゃないからね』

 明日なんて嘘だ。i(アイ)は、今夜中に発つつもりだった。

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