送り犬さんが見ている
とうとう力なく、道の脇に座り込んでしまった。
恐る恐る上を見れば、九郎がにこやかにこっちを見下ろしてくる。もしかして、これが狙いだったのでは…?
「……わ、私、あんたの好きにはならないから…!」
「え?」
私を追い回して疲れさせ、体力が切れたところを煮るなり焼くなりする気なのだろう。
夫婦になるなんて奇妙なことを言う奴だ。動けなくなった娘をどうするかなんて、嫌な想像しか浮かばない。
こんなところで見ず知らずの男に屈するくらいなら、
「わ、私に触ったら…ここで舌噛んで死んでやるからっ!!」
私は強く目を瞑り、精一杯の声量で叫んだ。
胸の中は恐怖でいっぱいだけど、せめて尊厳だけは保ちたい…その一心で。
しばらく黙って私を見ていた九郎は…、