ロマンスに道連れ
一番奥のカーテンが勢いよく開いて、眉間にしわを寄せた女が汚いものを見るような目でこっちを見ている。
黒髪ミディアムボブな清楚系。見た目だけはタイプだと思ったことは何度もあるけれど、このセンパイにだけは欲情しない自信がある。
「り、っくん、?」
「あ、ごめん。バレちゃったから今日はナシ。帰ってー」
「~~また、連絡してね!」
「あーうん、気が向いたら?」
羞恥で頬を真っ赤に染めたちょろい先輩は慌てて取り外した赤リボンを握りしめて保健室を出て行った。
「今日は2年生?ほんっと顔だけは可愛いのに」
「センパイこそ今日もサボりすか?最近毎日遭遇するせいで誰とも遊べてないんですけど」
「わたしの大切な保健室を守ってるの」
「よく言うよ、寝てるだけのくせに」
「このベッドは女の子と遊ぶためじゃなくて体調悪い人のためにあるんですけど」
「今いないからいいじゃん」
「ここにいるでしょう、立派な病人」
「うわー、全然元気そうなのに何言ってんすか」
とは言っても、相変わらず顔色のよくない顔はベッドの下にきれいに並べている上靴にわざわざ足を突っ込んで俺のことを蔑むように近づいてくる。
本当に寝起きなのだろう、右の髪の一部だけ不釣り合いに外を向いていた。
「あの子のどこに惹かれたの?胸?」
「うん、あとまあ、顔はギリ」
「タイプじゃなさそう。あーいう子の下着って派手だよ」
「赤とか萎えるんすよね、清楚がいい」
「清楚系はあんたには近寄らないわ」
「そう言うセンパイの下着は今日何色?」
「コラ、どさくさに紛れて聞くな」
「まあ聞いても先輩の下着で興奮する気は一切ないので安心してください」
「まあ今日は白なんだけど」
「え、」
「あれ~?もしかして興奮した?」
「ハ?俺の好みわざわざつけてきたのかなって思っただけっすけど」
「そうだったらどうする?」