友達婚~5年もあいつに片想い~
「うん。」

「俺達、実際30になっても独身な訳だし。このまま……」

「えっ?」

「結婚しようか。」

身体が大きくドキンっと鳴った。

「返事は?」

「あっ、うん。」

「何だよ。あっけない返事だな。」

「うん。」

「人がプロポーズしてるって言うのに。」

「……うん。」

ああ、好きな人からのプロポーズ。

涙が溢れてくる。

「塚田?」

「うん。」

「さっきからうんしか言ってないよ。」

私は貰った指輪を左手の薬指にはめた。

「うん。似合ってる?」

石黒は微笑んで、ワインを一口飲んだ。

「似合ってる。さすがは俺。」

「なあに、それ。」

「見ただけで、指輪のサイズが分かったって事だよ。」

「ははは。本当だ。」


たった一杯のワインで酔って、石黒から貰った指輪でも酔って、プロポーズで酔って、何度も何度も石黒に酔いつぶれた夜だった。
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