友達婚~5年もあいつに片想い~
「ただいま。」

玄関を開けると、既にいい香りがする。

「お帰り、梨衣。」

ひょっこり顔を出した大樹の顔は、見た事ないくらいに笑顔だった。

「お帰りなさい、梨衣さん。お仕事、お疲れ様ね。」

「ありがとうございます。」

そうなんだよね。

お義母さん、いい人だから文句言えないんだよ。

「お腹空いたでしょ。夕食作ってあるの。」

キッチンを見ると、これまた豪勢な夕食が。

そしてふと気づく。

家の中が片付いている事に!

「お義母さん、もしかして家の中……」

「ああ、片付けて掃除機かけておいたの。どう?私も少しは役に立つでしょ。」

少しばかりか、大いに役立ちすぎて、私の居場所、なくなりそうです。

「母さんが家事やってくれて、梨衣も少しは楽になっただろう?」

「大樹の馬鹿。」

「は?何で?」

私はちょっと落ち込み気味に、ベランダのサボテンを見た。
< 110 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop