友達婚～５年もあいつに片想い～

子供か。

結婚したら自然に子供ができると思っていたけれど、大樹はどうなんだろう。

私は早速家に帰ると、さっきの事を大樹に報告した。

「お袋、そんな事言ってたの？」

「いろいろと大樹の事、考えているのね。」

でも大樹には、考える事があるようで、下を向いていた。

「ねえ、大樹。子供の事なんだけど。」

「えっ？」

「私まだ、大樹との二人暮らしを楽しみたいなって。子供は１年くらいいらないかな。」

「そっか……」

大樹は喜ぶでもなく、がっかりするでもなく、私の話をただ聞いていた。

「なあ、梨衣。」

「なに？」

お義母さんが去ったキッチンで、私は食器を洗っていた。

「いや、何でもない。食洗機買おうか。」

「うん、いいね。」

その時の私達は、子供の事、そんなに考えていなかったと思う。