友達婚~5年もあいつに片想い~
そしてタオルを借りて、顔を洗って。

そのまま化粧をして、石黒の車に乗った。

「それで?家、どこ?」

「ああ、大通り行って、右に曲がったところ。」

「チェッ。いいところ住んでるなぁ。」

確かに石黒の家は、大通りからは外れているけれど、広くてお洒落な部屋だった。

そして、意外にも私の家とは、遠くなく。

もしかして、歩いても通えるんじゃないかと、思ったぐらい。

「家、近いな。」

「そうだね。」

「結婚するまで、俺、梨衣の部屋通うわ。」

「えっ……」

私は息をゴクンと飲んだ。

「ねえ、私達……」

「うん。」

「本当に結婚するの?」

辺りはシーンと静まり返った。

「いや、ごめん。返事しておきながら、なんだけどさ。」

私は一旦落ち着こうと、大きく息を吸った。
< 12 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop