友達婚~5年もあいつに片想い~
「まあまあ。」

私は大樹をなだめた。

「オジサン、僕達を誘拐しに来たの?」

「はあ?」

私は大樹の耳元で囁いた。

「相手は子供だから、適当に誤魔化して。」

「ねえ、誘拐しに来たの?ねえ、ねえ!」

「うるさい。皆の元へ戻れ!」

その瞬間、その男の子は、泣いてしまった。

「あちゃあ……」

私は大樹を叩いた。

「適当に誤魔化してって、言ったでしょう?」

私はその場にしゃがんで、男の子を慰めた。

「ごめんね、オジサンが変な事言って。」

「おい、梨衣!」

そして男の子の泣き声を聞いて、保育士までまた来てしまった。

「すみません。夫が泣かせてしまったみたいで。」

「いいえ。ほら、こっちへおいで。」

保育士さんは、頭を下げていたけれど、駆け足でその男の子を、中の方へと連れて行った。
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