友達婚~5年もあいつに片想い~

新居へ

そして交際4日目の今日、私と大樹は区役所へ行った。

「大樹。婚姻届、持った?」

「持った。」

昨日の夜、間違わないように必死になって書いた婚姻届。

忘れたら、何の為に区役所へ行ったのか、分からなくなる。

「車出す?」

「ああ……歩こうか。」

意外な提案に、一度迷ったけれど、それも悪くはないと思った。

「いいわね。」

私はスニーカーに履き替えて、外に出た。

まさかこんな気軽な恰好で、婚姻届を出すとは思わなかった。


外に出ると、青い空が広がっている。

「いい空だな。婚姻届を出しに行くのは、ぴったりだ。」

大樹が空を見上げた。

「もしかして、散歩したかった?」

「それもあるけど。」

大樹の表情は、仕事でも見た事がないくらい、穏やかだった。

「さあ、行こうか。」

「あっ、うん。」
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