友達婚~5年もあいつに片想い~
そう思った。

「分かった。」

家族の事を話すのは、勇気がいる。

「梨衣。」

大樹を見ると、なぜか微笑んでいた。

「俺、どんな梨衣でも、受け入れるから。大丈夫。」

そして何だか、私も微笑んでしまった。

「うん。」


区役所からしばらく歩いて、小さなカフェがあった。

ここを、家族の事を話す場所にした。

「あのね。私はお父さんと死別しているの。」

「亡くなったんだ、お父さん。」

「うん。」

ここまではいい。ここまでは。

「お母さんは……」

歯の奥の噛み締めた。

「しばらくして、再婚する事になったの。」

「じゃあ、梨衣には新しいお父さんが?」

私は顔の半分を、右手で覆った。

「梨衣。」

大樹は私の左手の上に、自分の右手を重ねた。

「新しい家族と、上手くいかなかった?」
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