友達婚~5年もあいつに片想い~
悶々とした気持ちのまま、時間は夕方へ。

もう少しで退社の時間だ。

「あず、ちょっと大樹のところ、行ってくるね。」

「うん。頑張って。」

と言っても、同じオフィス内の二つ隣の列。

ほんの1分、移動するだけの距離だ。

「大樹。」

「ああ、梨衣。どうした?」

まさかまたお弁当持って来たって、これ渡すの?

「……仕事、どう?」

「ああ、今日俺、遅くなる。残業頼まれて。」

「えっ?誰に?」

「誰にって課長から。」

その時私は課長ではなく、あずの顔が浮かんだ。

はっ!あず、何をしたんだ!

任せてって言ってたけど、本当に大樹に残業させるだなんて!

「あれ?それ、何持ってるの?」

「これ?朝、渡そうとしていたお弁当。やっぱり持って来ちゃって。」
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