友達婚~5年もあいつに片想い~
すると大樹は、私を片手で抱き寄せた。

「ちょっと、仕事中。」

「大丈夫。皆仕事で見てないって。」

いやいや、見てるって!

課長なんて、キツイ目でこっち見てるもん!

「俺の奥さん、可愛い。直ぐにでも襲っちゃいそう。」

「だから、今、仕事中だって。」

私は、大樹の顔を押し戻した。


翌朝。

お昼食べないって言ってたのに、またお弁当を作ってしまった。

ほら。もしかしたら、今日も残業?かもしれないし。

「おっ、今日も弁当作ってくれたんだ。」

「うん。」

「頂いていく。」

私は一瞬、固まった。

「本当?」

「本当、本当。仕事では何があるか分からないからね。」

なんだか大樹、本当に私の旦那様みたい。

って、事実上旦那様か。

「梨衣。今日の夜は、楽しみにしていて。」

「何で?」

「初夜、やり直そうよ。」

朝から茹でダコになっている私を見て、大樹は笑っていた。

「じゃあ、行ってきます。」

まったく。あの笑顔には敵わないわ。」
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