友達婚~5年もあいつに片想い~
「なあ、塚田。」

振り向くと石黒が立っていた。

「お帰りなさい。早かったね。」

「思いがけず、発注多かったんだね。早く戻ってきた。」

「おお!さすが!」

そのお陰で今から仕事が忙しくなると思っていた私に、石黒は思いがけない事を言った。

「塚田、今付き合っているヤツいる?」

「えっ?」

石黒を見ると、真剣な顔をしている。

「ううん。いないよ。」

あなたに恋しているからね。

他の人と、付き合えないんですよ。

「誕生日なのに、寂しいな。」

その時、心に波紋が広がった。

「覚えていてくれたんだ。」

「ああ。」

石黒に誕生日を教えたのは、半年前だったと思う。

「今日、お祝いしよう。」

「今日?急だね。」

「思い立ったが吉日。いいだろう?」
< 5 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop