友達婚~5年もあいつに片想い~
「梨衣……」

武蔵の腕が私の肩に周ろうとした時だ。


「そこまで。」

武蔵と一緒に後ろを振り向くと、大樹が立っていた。

「えっ?嘘、何で?」

「梨衣の様子が変だから、後ろをつけていた。」

その瞬間、なぜだろう。

ほっとして、全身の力が抜けた。

「なんだ、旦那の登場か。」

武蔵は腕を払って、2杯目のビールを飲み干した。

「俺の奥さんに、何か用ですか?」

大樹の口から“奥さん”っていう言葉が飛び出す。

「用事か……あるね。」

「何でしょう。俺が代わりに聞きますよ。」

大樹は無理やり、私と武蔵の間に分け入った。

おかげで私は、隣の席へ。

「旦那だから、はっきり言う。」

「はい。」

「梨衣を俺に返してくれないか?」

「はあ?」

私は思わず、武蔵を睨んだ。
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