友達婚~5年もあいつに片想い~
その時は、確か安い白ワインを飲んだ気がする。

やたら甘かった記憶があった。

「ちょっと、ベリーの匂いがしない?」

「ベリー?」

いくら匂いを嗅いでも、そんな香りは感じられず、もっとワインを勉強しようと思った。

「そうだ。これ。」

そう言って石黒が出したのは、指輪のケースだった。

「ウソ……本当に?」

箱を開けると、小さなダイヤが入っていた。

「ありがとう……」

ああ、もうダメ。気持ちが昂って、もう口元まで来ている。

「あのね、石黒!」

「それでさ。一つ提案があるんだけど。」

私の告白を遮られたようで、頭が真っ白になった。

「5年前の約束、覚えている?」

ハッとした。

もしかして、あの約束、覚えている?

「お互い30歳になっても結婚していなかったら、結婚しようって言ったよな。」
< 9 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop