友達婚~5年もあいつに片想い~
「あはっ……ははは……」

武蔵は力なく笑った。

「そうか。俺、二股されてたのか。」

「二股って、武蔵と付き合っていた時、大樹とは付き合っていなかったよ。」

「でも、あいつに心向いていたんだろう?」

泣きたくなった。

でも泣きたくなかった。

本当に泣きたいのは、武蔵だと思ったから。

「そっか。そうだったのか……」

武蔵は空を見上げた。

「じゃあ梨衣としては、その想いが叶った結婚だったんだな。」

「うん。」

「交際0日婚か。片想い5年もつけておけ。」

「ははは。」

やっぱり武蔵はいい奴だ。

この人が初めての彼氏でよかった。

心からそう思った。

「梨衣、変ったな。」

「そう?」

「昔は、男に流されるタイプだったのにな。」

私と武蔵は、笑顔で向き合った。


「じゃあ、またな。」

「うん。また。」

そう言って私は武蔵と別れた。
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