爪先からムスク、指先からフィトンチッド
涼介はのけぞり太陽を拝む。反らせた背中を戻し、環の頬をそっと持ち口淫をやめさせる。
「抱いていいかな?」
環はにっこり頷いて横たわる。
もう一度口づけしあい、涼介はそっと鈴口を環の秘園へあてがう。ローションと愛液で濡れそぼり、そこは優しく涼介を受け入れようとしている。
少し抵抗を感じたか、涼介は腰をすすめ、カリを挿入する。
「う、くっ――」
「ごめん、痛い?」
「ううん。平気、びっくりしただけ」
平気を装うが環の表情はこわばっている。思わず、腰を引こうとしてしまう涼介に環の長い足が絡んだ。
「だめ、引かないで」
「うん。このままいくよ」
ゆっくりと環の内部に入り込む。狭く熱く絡み付く感覚に涼介は呻く。
「これで、全部――」
動かずに抱き合ったまましばらく時を過ごす。
「動かないの?」
「もうちょっと、このままで」
唇が腫れるくらいキスをした後、涼介はストロークは浅めにゆっくり腰を動かし始めた。
「あ、な、中がいっぱいな感じ」
「辛い?」
「ううん。満たされる、感じ」
「早く、気持ちよくさせたい」
苦痛しかないだろうと、涼介は最小の動きで早く射精することを考えた。
「いま、でも、きもちいい」
少しだけ慣れてきたのか環の身体から力は抜けている。涼介は片方の足を開かせ、爪先を持ち、口に含んだ。
「きゃっ、あっ、あっ、はぁっ――」
足が性感帯のようで、愛撫を施すと環の蜜がまた溢れてきた。
「ああ、イキそうだ」
出来るだけゆっくりと思っていても絶頂が間近に迫ると動きが早くなってしまう。
「いいの、いっ、ぱい――う、動いて」
「ああっ――た、環っ――う、うぅ――あぁ……」
初めて避妊せずに女性を抱いて中に放出した。
「ああ、なんだかまた満たされる、感じがする」
環は和らいだ表情で涼介を見つめ、その背中を抱きしめる。温かいぬくもりを感じながら涼介は告白する。
「環。好きだ。結婚しよう」
「家族になるの?」
「嫌かな」
「嫌じゃないわ」
汗ばんだ身体にミントの風が爽やかに吹く。日が陰るまで二人は自然の中で寄り添い抱き合い、これからの生活についてまるで少年と少女のように夢を語り合った。


18 パフュームの完成
 完成した試作品の香水を持ち、薫樹は会社の会議に出席する。
これからの売り出し方やコマーシャルなどのことはほぼ決まっている中で、薫樹は発言の機会をうかがっている。
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