爪先からムスク、指先からフィトンチッド
うーんと考えているとちょうど芳香が走ってやってきた。
「薫樹さーん」
「ああ、芳香。すまない定休日だった」
「あ、ほんとだ。どっか他に行きます?」
「そうだな。できるだけ君の職場の近くにするかな」
「ありがとうございます。店長がゆっくりしてきていいよって言ってくれたのでそんなに急がなくても大丈夫です」
「そうか」
「はい」
嬉しそうな芳香と見つめ合っているとカフェ『ミンテ』の扉が開き中から声がかけられた。
「兵部さーん。芳香ちゃーん」
「あ、清水さん」
「ん?」
涼介がエプロン姿で出てきた。
「来てくれたんですか?」
「ああ。でも定休日だったと知らなくて今、他所へ行くところだったんだ」
「そうでしたか。どうぞ、良かったら入ってください。今、試作の料理だしますから」
「いいのかい?」
「どうぞどうぞ。ちょっと報告もありますしね。芳香ちゃんもどうぞ」
「は、はい。失礼します」
店内にはいると温かい雰囲気の中に爽やかなミントが香る。
「そこ掛けててください」
店の中央に薫樹と芳香は腰かけ、涼介は厨房へと入っていった。
「試作ってなんでしょうね」
芳香はすでにわくわくした様子で、目を輝かせている。薫樹はそんな彼女にもう満たされていた。
「お待たせしましたー」
大きなトレイに4つ鉢がのせられている。箸も4膳だ。誰のだろうと芳香が思っていると、もう一人涼介の後ろからトレイを持った女性が現れた。カフェエプロンを身に着けた環だ。
「あっ、た、た、TAMAKI!」
芳香は話には聞いていたが、実物を目にすることなどないと思っていたのでとても驚き、そして美しさに目を見張った。
スーパーモデルのTAMAKIが自分の目の前にデザートを配っている。
芳香はあんぐりと様子を見守るだけでじっとしていた。
涼介と環が並んで腰かけると、環が芳香に声を掛けた。
「初めまして。唐沢環です。薫樹の恋人の芳香ちゃんね」
柔らかい笑顔を見せられて芳香はハッとし、慌てて「柏木芳香です。よろしくお願いします」と立ち上がって深くお辞儀をした。
動揺している芳香の指先を薫樹はそっと触り、席に着かせる。環の「なかよくしてね」という言葉に芳香は興奮して「あ、あの。私、前に雑誌で環さんのインタビューに感動して、それから、えっと私も頑張らなきゃって思って、あの、これからも頑張ってください」と一気に告げる。
「インタビュー?」
「薫樹さーん」
「ああ、芳香。すまない定休日だった」
「あ、ほんとだ。どっか他に行きます?」
「そうだな。できるだけ君の職場の近くにするかな」
「ありがとうございます。店長がゆっくりしてきていいよって言ってくれたのでそんなに急がなくても大丈夫です」
「そうか」
「はい」
嬉しそうな芳香と見つめ合っているとカフェ『ミンテ』の扉が開き中から声がかけられた。
「兵部さーん。芳香ちゃーん」
「あ、清水さん」
「ん?」
涼介がエプロン姿で出てきた。
「来てくれたんですか?」
「ああ。でも定休日だったと知らなくて今、他所へ行くところだったんだ」
「そうでしたか。どうぞ、良かったら入ってください。今、試作の料理だしますから」
「いいのかい?」
「どうぞどうぞ。ちょっと報告もありますしね。芳香ちゃんもどうぞ」
「は、はい。失礼します」
店内にはいると温かい雰囲気の中に爽やかなミントが香る。
「そこ掛けててください」
店の中央に薫樹と芳香は腰かけ、涼介は厨房へと入っていった。
「試作ってなんでしょうね」
芳香はすでにわくわくした様子で、目を輝かせている。薫樹はそんな彼女にもう満たされていた。
「お待たせしましたー」
大きなトレイに4つ鉢がのせられている。箸も4膳だ。誰のだろうと芳香が思っていると、もう一人涼介の後ろからトレイを持った女性が現れた。カフェエプロンを身に着けた環だ。
「あっ、た、た、TAMAKI!」
芳香は話には聞いていたが、実物を目にすることなどないと思っていたのでとても驚き、そして美しさに目を見張った。
スーパーモデルのTAMAKIが自分の目の前にデザートを配っている。
芳香はあんぐりと様子を見守るだけでじっとしていた。
涼介と環が並んで腰かけると、環が芳香に声を掛けた。
「初めまして。唐沢環です。薫樹の恋人の芳香ちゃんね」
柔らかい笑顔を見せられて芳香はハッとし、慌てて「柏木芳香です。よろしくお願いします」と立ち上がって深くお辞儀をした。
動揺している芳香の指先を薫樹はそっと触り、席に着かせる。環の「なかよくしてね」という言葉に芳香は興奮して「あ、あの。私、前に雑誌で環さんのインタビューに感動して、それから、えっと私も頑張らなきゃって思って、あの、これからも頑張ってください」と一気に告げる。
「インタビュー?」