故意な恋~ヤンデレ御曹司に戦略的に囲い込まれていく~
こんなクズ共に育てられても、彼女が優しくて思いやりのある女性に育ったことが不思議でならない。
彼女の芯の強さの賜物だろう。
しばらく泣き止みそうにない彼女を部屋に運ぶ。
声を押し殺して泣いていて、余計に痛々しい。
彼女は声を上げて泣くことを知らないんだ。
可哀想で、そして何よりも愛おしい。
落ち着いたのを見計らって洗面所でタオルを濡らし、彼女の腫れてきた頬に当てる。
「いっ…」
彼女は一瞬顔をしかめたが、大丈夫と笑う。
無理して笑う彼女を見て、もうこんな目には合わせないと固く誓った。
ーー彼女を痛めつけたんだ。あいつらにはそれ相応の報いは受けてもらう。