ステキな攻防戦
彼は離婚届に指を置くと、スッと私の前に差し置いた。

それがよくわからなくて首を傾げたら、
「３年間、君に寂しい思いをさせたことと１人にさせたことを謝る。

あの時、君が何を言っても周りが反対をしても一緒に連れて行けばよかったと思ってる。

こんな状況だから３年間も帰ることができなかったのは仕方がないと言えばそれまでだが」
と、彼は言った。

「佐奈さん」

彼は私を見つめると、私の名前を呼んだ。

「こんなことを言うのはおかしいと思うが…」

彼はそこで言葉を区切ると、
「改めて、俺と一緒に生活をしてくれないか？」
と、言った。

「えっ…？」

「信じられないとは思うが、俺はお見合いの席で君に恋をした。

一目惚れと言うのはおかしいが、俺は君のことを好きになったんだ」

彼は言った。
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