ステキな攻防戦
繋いでいる手はそのままで、東夏さんと一緒にプラネタリウムがある2階へと足を向かわせた。

受付でチケットを取って室内に足を踏み入れると、
「結構広いんだな」

室内を見回した後で東夏さんは言った。

「プラネタリウムにきたのは初めてなんですか?」

そう声をかけた私に、
「小学生の時に課外授業で科学館の中にあるプラネタリウムになら行ったことがある」
と、東夏さんは答えた。

「そうなんですか」

「佐奈さんは?」

「私も同じく」

もう10年以上も前のことである。

指定された座席に一緒に腰を下ろしたけれど、手は繋がれたままだった。

もう離してくれてもいいんじゃないだろうか?

落ち着いて楽しむことができる自信もなければ余裕もない。
< 22 / 37 >

この作品をシェア

pagetop