ステキな攻防戦
彼と並んだら、私なんか絶対に子供だよね…。

いや、10歳年下の時点でもうすでに子供か…。

そんなことを心の中でブツブツと言っていたら、
「佐奈さん」

よく通るバリトンの声で、彼が私の名前を呼んだ。

「は、はい」

ちゃんと返事ができた…いや、どこの心配をしているんだ。

彼はフッと形のいいその唇をあげると、
「そんなに緊張しなくてもいい」

そう言って私の隣に並んだ。

「あっ…」

きた。

まさか彼の方からきてくれるとは思ってもみなかった。

「佐奈さん」

彼はもう1度名前を呼ぶと、
「突然のことで戸惑っているのは、俺もよくわかっているつもりだ」
と、言った。

「だけど…俺は君のことをよく知りたいし、君と一緒に過ごしたいと思ってる」

彼は私を見つめてきた。
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