大嫌いの先にあるもの【番外編】
「美香ちゃん、ごめんなさい。黒須が好きです。初めて会った日から黒須の事が好きで、ずっと想い焦がれて来たの。でも、この気持ちは許されるものじゃないと思って、何度も諦めようとした。嫌いになろうともした。けど、好きで堪らなくて。ずっとこの気持ちから逃れられないの。黒須を愛さないなんて私の中ではありえないの。美香ちゃん、本当にごめんなさい。悪いのは私なの。ぶつなら私をぶって」
床に手をついて美香ちゃんに土下座した。そんな事で許されるものじゃないけど、この気持ちをわかって欲しい。
「春音、やっと本音を言ったね」
頭の上で静かな美香ちゃんの声がした。
顔を上げると、すぐそばに美香ちゃんがいる。
「引っ込み思案の春音がここまで自分の気持ちを口にするなんて思わなかった。よっぽど圭介を好きなのね」
「美香ちゃん……」
「なんで私たち同じ人を好きになってしまったんだろうね」
美香ちゃんが短く息をついた。
「春音、圭介と幸せになってね。今みたいに自分の気持ちに自信を持ってね。もう私の事を気にしなくていいんだよ」
白い手が優しく頭を撫でてくれる。別れの挨拶みたいに。
「美香ちゃん、どこかに行っちゃうの?」
「わかっているでしょ、春音。もう起きる時間よ」
「嫌だ。美香ちゃん。どこにも行かないで」
「『アバウト・タイム』いい映画よね。私も好きな映画よ」
映画……。
そうだ。黒須と映画を見ていたんだ。
床に手をついて美香ちゃんに土下座した。そんな事で許されるものじゃないけど、この気持ちをわかって欲しい。
「春音、やっと本音を言ったね」
頭の上で静かな美香ちゃんの声がした。
顔を上げると、すぐそばに美香ちゃんがいる。
「引っ込み思案の春音がここまで自分の気持ちを口にするなんて思わなかった。よっぽど圭介を好きなのね」
「美香ちゃん……」
「なんで私たち同じ人を好きになってしまったんだろうね」
美香ちゃんが短く息をついた。
「春音、圭介と幸せになってね。今みたいに自分の気持ちに自信を持ってね。もう私の事を気にしなくていいんだよ」
白い手が優しく頭を撫でてくれる。別れの挨拶みたいに。
「美香ちゃん、どこかに行っちゃうの?」
「わかっているでしょ、春音。もう起きる時間よ」
「嫌だ。美香ちゃん。どこにも行かないで」
「『アバウト・タイム』いい映画よね。私も好きな映画よ」
映画……。
そうだ。黒須と映画を見ていたんだ。