大嫌いの先にあるもの【番外編】
結局、黒須の車で一緒に大学に向かった。助手席から空を見ていたら青空にかかる虹が見えた。

「虹だね」
「そうだな」
「ねえ黒須」
「何だ?」
「今日、大学が終わったら美香ちゃんに会いに行かない?」
虹を見ていたら美香ちゃんに言いたい事があった事を思い出した。

「珍しいな。春音が美香の所に行きたいなんて」
「今までは美香ちゃんに遠慮してたというか、会いに行きづらかったの。だけど、もう遠慮するのやめる。私の気持ちは何があっても変えられないもの」

黒須を好きな気持ち、ちゃんと美香ちゃんに伝えよう。
好きな人が出来たら教えるって約束してたものね。

「何に遠慮してたんだ?」
「それは秘密」
「ふーん、女同士の秘密って事か」
「まあね」

美香ちゃん、私の好きな人はとっても優しくて、素敵な人で、美香ちゃんの事も私の事も大事に想ってくれる人だよ。

美香ちゃん、黒須と会わせてくれてありがとう。
美香ちゃんの分も黒須のそばにいるからね。
おじいちゃんになった黒須も私が見届けるから心配しないでね。

「何だ、その笑顔は?」
赤信号で停車した黒須が不思議そうな視線を向けた。

「えへへ。黒須、大好きだよ」
黒須の顔が赤くなった。
かわいい。照れてるんだ。

終わり

次回作「おまけ」
< 43 / 55 >

この作品をシェア

pagetop