恋と、嘘と、憂鬱と。
年齢が近いことや、家が近かったことも相まって、颯真くんと仲良くなるのにそんなに、時間はかからなかった。
一人っ子だった、私にとっては毎年夏にやってくるお兄ちゃん的な存在で。
「颯ちゃん、こっち!こっちは蟹がとれるんだよ」
「へぇ、どこどこ?」
いつの間にか、颯真くんが遊びに来る夏休みが、毎年楽しみになっていたんだ。
颯真くんの髪は、サラサラのストレートで、色素が薄く光が当たると茶色い。
瞳も大きくて、色白で、傍から見たら颯真くんの方が女の子みたいだった。
その頃の私はというと、
毎日のように外を走り回っていたこともあり、わりとこんがり日焼けしてたし、
髪の毛も、走る時に邪魔だから。
そんな理由でベリーショート。
我ながら、島育ちの活発ガールという言葉がピッタリだったと思う。
まぁ、男の子に間違われることもあったしね…。