恋と、嘘と、憂鬱と。


知らない少年の登場に困惑しつつ、彼の顔を見て、私はさらに驚いて目を見開く。


…綺麗な顔…。


黒髪のサラサラストレートヘアに陶器のようなツヤツヤの肌。

まつ毛も長くて、学ランを着てなければ女の子と言われても信じてしまいそう。


所謂、美少年という類だ。


「…あの子、超綺麗ね」


「女の子みたい…」


と、帰り際に通り過ぎる生徒たちからは、感嘆の声が聞こえてくる。


しかし、そんなことを全く気にしていないのか…。


「…ったく、なんで僕がわざわざ迎えに来ないといけないのさ。それもこれもあんたがこの前、母さんの前で具合悪そうにしてるからだろ?心配かけんなよな」


舌打ちしつつ、毒を吐く少年。




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