恋と、嘘と、憂鬱と。
そして、クルリと私の方に向き直り。
「…は?今さら何言ってんの?そうに決まってるでしょ、誰と勘違いしてんのさ」
と、呟いて呆れたように肩をすくめた。
「だ、だって…知らない制服着てるし…それに、充希くん私の前ではいつも女装…っ!」
言い訳しようとした私の口を充希くんは自分の手で咄嗟に塞ぐ。
「…ちょっと、大きな声で言うなって!この格好でいる時はその話しないで、わかった??」
真剣な表情の充希くんに戸惑いつつも、コクコクと、首を縦に振り肯定の意を示すとようやく開放された。
「…ハァ、一応こんなんでも多少は世間体気にしてるんだよ。他の人に舐められんの癪だし」
面倒くさそうにそう言う彼は、小さくため息をつく。